2008/12/30

できればDISらずに暮らしたい(2008年をふりかえって)

2008年は検索/SEM にもブラウザまわりにもいろいろと動きのあった年だったが、当サイト(SEM酒場)で今年よく読まれた記事を以下に紹介したい。アクセス解析を見るとトップページがページビュー全体の21.6%を占めるのだが、トップをのぞいて今年もっともアクセスの多かったエントリーから順に紹介する。
  1. SEO 屋の半分はクズだ。(13.3%)
    何やら物議をかもしたようだが、比率はともかくとして、クズがこれまで以上に目につくようになったことは事実かと。ちなみにタイトルは「広告費の半分は無駄だ。問題はどの半分が無駄なのかわからないことだ」のもじり。
  2. 全日本SEO 協会?(7.3%)
    これもひどかった。秋に何やらイベントごっこをやった後、動きが絶えているようだが、このままフェイドアウトすることをおすすめする。当時フォローできなかったが、同協会にアドバイスを寄せた人がいるようだ。優しいなあ。
  3. ドリコムad4U は「行動スキミング広告」(3.8%)
    現在進行形だが、行動ターゲティングという手法、ひいてはインターネット広告全体への信頼性を損ないかねないという意味で依然として深刻。問題を提起した高木氏のサイトを中心に検証が続けられている。本エントリーもこちらで言及いただいた
  4. さよならEC ジャパン(3.4%)
    2007年のエントリーだが、今年も地味にアクセスを積み上げている。Yahoo! JAPAN、Google ともに「ECジャパン」で検索してファーストビューに入っているが、それにしても同社が現在まで継続して検索されつづけるほどのブランドを築いたことに驚かされる。
  5. 外部リンク系SEO スパムの話(3.3%)
    このあと、「インデックス削除をくらったスパム業者のリスト」(2.6%)、「Blogger はSEO ツールらしい」(2.2%)、「CSSによる隠しテキスト、間抜けな注釈つき。」(2.2%)とSEO/スパム関連のエントリーがつづく。みんな好きだねえ。

こうやってふりかえると始終DIS ってばかりいるようだが、筆者本人は至って温厚な性格である。自分でいうから間違いない(by 三木道三)。今年アップした29本のエントリーのうち、まじめなもので気に入っているのは例えば「インターネットユーザーの時間を値付けする 」だったり、「ブラウザによるURL の補完 」、「検索とエコと広告 」(←特に後半部分)などだ。

もともとSEM酒場は、業務には直結しない検索エンジンやブラウザに関する小ネタを載せる場として始めたもの(エントリーでいうと「Yahoo! or Ya-Hoo? 」や「baidu.co.jp - 百度(Baidu )とは無関係 」など)。来年は本来の趣旨に戻ってエントリーをあげることができるような、穏やかでまともな年になるといいな、と願う。ではよいお年を!

2008/12/27

今年のベスト(?)キャンペーン(??)

「今日のニッパウ」の小越氏からビーンボール気味のクリスマスプレゼントが。おおもとはここのようだ。
「2008年、ブロガーが選ぶウェブキャンペーンベスト5」と称して、ブログ界的には懐かしい「バトン」形式で、色々なブロガーに今年一番印象に残ったウェブキャンペーンを選んで頂き、うまく2008年の広告業界を振り返って頂きたいと思います。
筆者の更新頻度で果たして「ブロガー」といってよいのか、とも思うし、ウェブキャンペーンに限定されてしまうと「ない」という結論になってしまう。

しかし小越氏の1位が「オバマ大統領のインターネットキャンペーン」であるように、各種キャンペーンの中でインターネットのからませ方がうまかったもの、と考えると……やっぱりないな。オバマは同意だけど先に言われちゃってるし。

まあ期待されてるのは「広告系」(だっけ?)の人たちが取り上げないような角度のものだろうから、せっかくなのでひとつだけ。

パナソニック(旧「松下電器産業」)の企業ホームページ
http://panasonic.co.jp/


既に有名だと思うが、4回目の冬を迎えてもまだ継続している、というところをあらためて評価したい。2005年にFF式石油温風機の欠陥問題が明らかになった際に、同社がCM をすべて当該温風機の回収告知CM に差し替えたり、はがきを全戸に送付したりと徹底した呼びかけを行い、結果として企業への信頼性を高めたのは覚えている方も多いことだろう。

ではこの時、Web サイトにおいても「松下電器からのお願いです」のページ以外は表示できないように対応していたことはご存知だろうか。その後、リダイレクト処理は外したものの、トップページ(http://panasonic.co.jp/)はほぼこの回収の呼びかけのみという状態が現在まで続いている。

panasonic.jp という商品情報サイトが別に存在するとはいえ、企業ホームページのトップを何年もこの状態にしつづける、というのはなかなかできることではない。特に2008年は松下からパナソニックへの社名変更とブランド統一もあった訳で、そのタイミングでこの告知の扱いを下げていても不思議はなかっただろう。

筆者も参加しているWeb 広告研究会の企業広報ワーキンググループでは、こういった企業ホームページの危機管理に関する研究を継続して行ってきており、この12月にはまとめのセミナーを会員向けに実施し、盛況であった。派手なキャンペーンもよいのだが、安全や企業の誠実さに対する視線が厳しくなっている現在、何かことが起きた時の対応のあり方を考えておくことは重要ではないだろうか。


検索まわりでは

検索やブラウザまわりもいろいろ動きがあったこの1年だが、中でもGoogle Japan がお金をかけて本格的にマーケティング活動を展開しだしたなあ、という印象を受けた。「Google で、できること。」なんかのことだが。日本独自のトップページにしたこととあわせ、これ以上にのばすためにはどうすればよいのか、という問題意識から具体的なアクションが出てきた一年だったということか。

ただやはり、もっとも世の耳目をひいたのはストリートビュー騒動だろうし、これによってGoogle の企業姿勢が広く伝わったことこそが今年のトピックなのだろう。よくも悪くも、特に同社の広告審査に対するスタンスを理解している人であればストビュー問題にも通底するものを感じただろうし、特に驚きもなかったはず。しかし単に検索やその他の優れたサービスを利用してすごいすごいと言ってるだけの人の中には、ここで初めて危機感を持ったという人も多かったのかもしれない。

#筆者はこういった点も含めて、それでもGoogle はすごい、という評価が妥当だと考えている。